思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『死体遺棄現場』開始・読了

「落としの神様・水木警部補」シリーズの第2弾。
佐賀の磁器採掘現場で死体遺棄現場を目撃された女との対決。
真相そのものは「そんな偶然あり〜?!」と言いたくなるものだが、
本作(シリーズ)で面白いのは、捜査の過程である。
鑑識の科学捜査を主体に、警察が一丸となって各地に散らばり、
証拠を探して奔走する様が面白いわけだ。
水木警部補があちこち移動しないリアルさもポイント。
あくまでも現実の捜査のように(作中の記述を信じるならば、だが)分業で、
担当者が分担された職務/捜索範囲を任されて動いていく。
1つのドラマとして、水木警部補の元恋人が危篤になるのだが、
それでも公務を優先させる。
<引用開始>
「サト子さん、死ぬかもしれないんですよ。ただのお見舞いとは、違うんですからね」
「捜査が大きな山を迎えて、被疑者を落とすのに最も肝心な時期にさしかかっている。そういうときには、親の死に目にも会えないってことぐらい、よくわかっているだろう」
「薄情なのね」
「被疑者を落とすことを、何よりも優先する。それが、取調官の義務だ」
「冷酷だわ」
「何とでも言え」
「仕事の鬼」
「おれは、プロなんだ」
水木正一郎の胸には、痛みが湧き上がっていた。
<引用終了>
ふつうの小説ならなんだかんだ言っても死に目に会いに行くものだが、
そうでないところが気に入った。
これからも続けてこのシリーズを読むぞ〜!