思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンダムF91
☆☆☆★

久しぶりに(メカパート中心に)再見。
現在のレベルでも、戦場描写は凄いわ……。オモチャっぽいメカでもここまでのリアリティなんだから、『イグルー』や『オリジン』レベルなら、どれだけの迫真性だったか、と惜しいことこの上ない。『逆シャア』と同レベル(1部は使い回しかと思ったくらい(^_^;))か、その上を行っている。
3人以上の人物を同時に画面に納め、2つ以上のドラマを同時に描くことで、通常の2倍くらいの密度の情報量をさばいている手腕はさすが。ラストでは、敵であるクロスボーン部隊の凱旋で幕を閉じるなど、『スターウォーズ』のエピソード4と5をまとめたくらいの濃縮っぷり。
改めて、鉄仮面は、デザインの完成度とオリジナリティ、骨太のキャラクター造型と相まって、数限りないダース・ヴェイダーのパクリの中で、ほぼ唯一、本家を超えたのではないだろうか。これこそ、ツイッターとかでよくある「もっと評価されるべき」キャラと言える。
ラフレシアが爆発する時に、花弁にあたるウィング・バインダーが上に動く(水に沈むような)演出もナイス。
なお、バグは『バトルシップ』で、エイリアンのボール型の攻撃兵器としてパクられているのかも(これも指摘されたことはない?)。
死亡率も、メインキャラとモブキャラ合わせて、メチヤ高い。

『あなたも襲われる! 生き残るための(秘)テクニック』北芝健
☆☆★
ポプラ社

せっかくの元警官なのに、犯罪以外のネタが多い。ネットはともかく、医療機関とのつきあい方なんて、この人に聞かなくても……という気がする(^_^;)
唯一、新知識としては、あまり関係ないけど、独り暮らしの女性は、マンションの扉を開ける前に周囲を警戒すべき、ということくらい。

『ロード・オブ・モンスターズ』
☆☆★

アメリカのテレビ映画。それだけでC級感は充分分かるだろう。
『ラバランチュラ 総員出撃』や『メガロドン』みたいなチープなCGで、チープ(ゆるゆる脚本の)な話。潜水艇で、明らかに手前の壁がないセットなのがバレバレな撮影とか。設定と、どうすればいいかを全部説明してくれるシャーマンばあさんとか。
劇中でちゃんと「怪獣」と言ってる。そのデザインは、デカイだけのヒトデ。体内にマグマの血が流れてるとか、アメリカ人はマグマ好きだなぁ……( ´Д`)
それに対する、平成ガメラみたいな立ち位置のやつも、雛鳥みたいな口の小人体型巨人、という訳分からんデザイン。
小型レギオン的な翼竜は、鳥の頭蓋骨を左右にくっつけたようなデザインがちょっと良かった。コンセプトは『キングコング 髑髏島の巨神』の敵と同じと言える。
細部で妙に凝っていて、巨大ヒトデが出現したら、津浪を警戒する描写がある(そのくせ、低予算だから、津浪そのものの描写はない)。

セブン・シスターズ
☆☆☆☆

『アヴァロン』に出てきた名前の元ネタかと思いきや、全く関係ないみたい。こちらのほうが後だし。
ひと昔前の中国みたいに、一人っ子政策が実施された世界。不法な第二子は逮捕され、食料・環境問題が解決される未来まで冷凍される。
主人公が七つ子であることがタイトルの由来。曜日の名前をつけるなんて、テキトーすぎると思ったが、実は曜日ごとにローテーションで一人だけ外出してお上を欺く計画だった。フライデイと言えば、ハインラインだが、念頭にあったかな?
そこからは『リベリオン 反逆者』みたいなお上との戦いを、『マトリックス』みたいなネットを通したサポートで一人ずつ立ち向かって行く。時には隠れ家に踏み込まれて、みんなで共闘したり。現実でもよくある二子の、入れ替わりいたずらを、極限まで振り切った設定といえる。
CG合成でか、ごく自然に7人が混在・絡み演技しているシーンがあるかと思えば、クライマックスでは、古典的な肩越しの代役・撮りきりしているカットもある。事前情報なしで観たので、無名の三つ子くらいの女優さんかと思ったら、逆で、有名な普通の(二子ですらない)人だった。
殺し・殺されるカットは結構遠慮ない。少し観れば、「そして一人だけになった」展開は予想できるが、意外なタイミングと順番で退場するのが見処。特に、肉体派の主人公が、キアヌ・リーブストム・クルーズばりにビルの間をジャンプした着地前に射たれるあたりは最高の裏切り!
ラストになって、急にC級SFに失速し、CGもチャチになるのが少し惜しい。
ラストでは、一人が権力者とつるんでいたり、二人(と赤ちゃん二人)が生き残ったりと、ひとひねりあるオチもいい。

ダーク・スター
☆☆☆★

格好いいタイトル(頭悪い感想だが)に惹かれて観てみた。ところが、暗黒物質とか暗黒星雲(もしかして当時は時代的に、まだそんな概念は発見/提唱されてなかった可能性も)とは無関係。宇宙船の名前に過ぎない。しかも白い(これも『2001年』)宇宙船の横にデカデカと書かれているのだ。また、形とも相まって、ボートくらいの大きさにしか見えない。とても遠宇宙船探査船には見えないよなぁ……。
明らかに古くさい画面だが、宇宙での影の側は真っ黒で、『2001年』後なのは確実で、『スターウォーズ』前後か。
ストーリーそのものは、50年代SF短編。『2001年』のハルみたいな、コンピュータの反乱を描いたもの。
宇宙船の描写そのものは、現在ではSF的には新味、見るべきものはない。操縦席でタバコを吸っていたり、休憩室に裸のピンナップをペタペタ貼っていたり、第二次大戦のノリそのもの。
内容をひとことで言えば、人工知能を持つ宇宙船の、人工知能を持つミサイル(金の無駄遣い!)が反乱する、というもの。要するに『2001年』の二匹目のドジョウ。ただし、ラストは元ネタとは真逆とも言える能天気なもの。漂流した主人公が、近くにあった惑星へ、宇宙船の破片でサーフィンして降下する、という『博士の異常な愛情』をしのぐアホらしさ( ´Д`)
冷凍された船長という、SFっぽいガジェットには「おっ!」と思わされた。もうひとつは、直方体のミサイル。宇宙用ならではの秀逸なデザイン……と思ったのだが、改めて考えてみると、モノリスをアレンジしただけかもしれないなぁ……。
古さと御約束が相まって、ストーリーそのものには何の面白さもなかったが、興味深いポイントは、ディテールだけ。

ゴジラVSメカゴジラ

いま、富野監督の絵コンテ演出論を読んでいるのだが、その目で見ると、カミシモの演出が面白かった。
一回戦ではゴジラがカミ(敵)、幕張でメカゴジラがカミなのだ。ただし、ドラマ的に、メカゴジラパイロットたちが悪に転換した意図は全くないのが問題。もちろん、映画全体としては、ベビーを囮にした時点で倫理的(?)に悪堕ちした、というのは分かるのだが……。その張本人たちが乗っているわけでもないメカゴジラが悪役に転じる、というのはわかりづらいのでは?普通の映画なら、これを目論んだGフォース首脳が巻き添えで死んだりするもんだが、本作では主要登場人物には何も関わらない。
『KOM』にも出てきた「ペット」云々が本作に出てきたのは完全に忘れていた(^_^;)

当時から悲しくなったが、改めて観ても、ラドンの羽ばたきは子供向け素人人形劇のレベル( ´Д`)ラドンの顔の造形は悪くないだけに残念。
逆に、ゴジラは尻尾の操演も、薩摩さんの演技も、アップ用の表情も、現在の目でも遜色ない。改めて、ゴジラの顔に筋肉をつけたのは平成シリーズの発明かつ特徴たよなぁ……。顔の表情の演技も、本作は突出している。尺も意外と長かった。特にラスト。
興行的に高嶋兄と、佐野量子が主人公になっているが、二人ぶんの要素を三枝未希にまとめるべきだった。最後には未希がメカゴジラに乗る訳だし、脚本の要素的には可能てしょ?
最後の未希の台詞で美しく終われていたのに、本作の主役なので入れざるを得なかった高嶋兄たちのカットが入ったことでぶち壊しになっている。
未希を主役にして再編集したら、90分くらいにもなって、2割増しくらい良くなるのでは?(^_^;)

『チャッピー』
☆☆☆☆

期待してなかったが、意外や面白かった。
ターミネーター2』と『ロボコップ』と『攻殻機動隊』を合わせたような感じ。チャッピーが最後まで一人も殺さないところとか。
町山さんの解説で知ったが、監督は日本アニメの大ファンだった。チャッピーがイングラムなのはわざとだったのか……(^_^;)敵役の遠隔操作戦闘ロボのデザインが宮武的で格好いいのだ。無駄に飛ぶのも馬鹿馬鹿しくていい。
ラストでは、チャッピーのバッテリー問題から、主人公が撃たれて死ぬのを回避するために、チャッピーが主人公の意識もロボットに転送しようとする。ここで急に『ターミナル・エクスペリメント』ばりの硬派SFにシフトするが、ちゃんと伏線を踏まえて、というのが良い。まあ、妹の意識もコピーしていた、というのは後出しだけど、まあ二段活用として許容範囲内か。
そもそも、AIをあっさり開発するあたりが簡単すぎなのだが……。まあ、血生臭い(PG12?)のを除けば、基本は子供向けなストーリーなんだけど、そのあたりのパッケージングがちぐはぐな感じはある。
てっきり瀕死のジャックマンが最後に主人公の前に出てきて、結局事故的に死ぬかと思いきや、あのまま。テレビ放映版だからカットされた?