悪魔を憐れむ歌
☆☆☆★
デンゼル・ワシントンが主演だし、てっきりサイコだが、境遇に同情の余地のある連続殺人ものなのかと思ったら、違った(いやこれもある意味重大なネタバレだけど)。
冒頭の、連続殺人犯の死刑執行から、回り出した事件の連鎖を追う、刑事デンゼルの物語だ。
デブの相棒、嫌味なギョロ目のボス(ちょくちょく見る)、女学者など、キャラの立った配役で脇も固めていて、予想外の展開に、先入観なく挑めば、ラストのツイストなど、読後感(鑑賞後感)も高い。
以下ネタバレ
中盤で、古代語とか悪魔とかが出てきて、嫌な予感がしてくるが、そのまま悪魔ものにシフトする。というか、実は冒頭からしっかりとフェアに悪魔の主観ショットを描いていたのが分かる。ちょくちょく出てくる、黄色いフィルターがかかったような手持ち風ショットがそれだ。
触った相手に乗り移れるという、実にシンプルな能力だ。『ジョジョリオン』でゾンビが伝染するスタンドは、これが元ネタかも。精神力の高い人間には転移できないが、憑依している人間が死んだ場合は、500キュビット(500歩)以内の人間に問答無用で乗り移れる。
ラストは、それを使った道連れ戦法を使うという、実に『ジョジョ』的な理系の勝利ロジックなのが素晴らしい。
邦題は、この悪魔が歌好きだから。