思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

地獄の蟲


☆☆★

すごく怖そうなタイトルだが、サイレン映画で、すぎやまこういち作曲の主題歌がオープニングと、クライマックスにながれるアウトローもの、というどういう気持ちで観ればいいんだ!? という作品。当然白黒だが、『エル・スール』とかを観ると、ボケボケのカラー映画よりも、逆に白黒のほうが、エッジがシャープでいいのかも……。
サイレントにしては台詞が多くて、そのたびに台詞だけのカットが入るので、没入感が削がれることこの上ない。ちょうど『ゴティックメード』で、シーンごとに暗転したのと似ている。
そういう形式(サイレント)だから、早送りしてなんら問題ない(^^;) ただし、10倍でも、セリフが映る時間が最近の映画の英語字幕よりも短いので、なかなかの速読能力が要求される。
物語は、金数百両を盗んだ盗賊が主人公。山の中に逃げ込んだものの、追っては迫る、食べものはない、で精神的に追い込まれてゆく。
なんとなく『野火』っぽい感じではあるのだが、そもそも盗賊なんだから、自業自得じゃん(´Д`)

以下ネタバレ

しかも、ラストでは、もはやこれまでと、主人公の情夫を殺して、自分も死ぬのかも思いきや。捕手たちに切り込んで何人も殺す。いやいや、捕手は仕事と公共の正義のためにやってて、何の罪もないやん!?
メタ的に見れば、チャンバラシーンを入れたかったんだろうとは分かるけど。
物語的には、最悪(´Д`)
映画的にも、『ああ無情』じゃないけど、盗みを働かざるを得なかった、主人公のバックボーンを描いてくれないと、こんなんじゃ、1ミリも同情できないよ。