思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

死刑台のエレベーター

☆☆★

リメイク版の時に元ネタがあると聞いて、てっきり80年台のハリウッドのB級映画かと思ったら、白黒のフランス映画。
まず、白黒だが、ごちゃごちゃで何が何やらわからないようなあるあるはなく、白黒であることを感じさせないシャープな画面が素晴らしい。だから撮影じたいが完璧……かというとそうでもなく、登場人物が前後に歩くカットで一瞬ピンボケになったりと、よく分からないカットもいくつかある。
主人公が殺人をして、そのために使ったロープを回収し忘れたことに気がついて戻った時に、マスターブレーカーを落とされてエレベーターに閉じ込められる、という現代ではあり得ない筋書き。これをはじめ、数十年前の異国、という差異は、まるで『王立宇宙軍』を見ているかのような異世界感があって面白かった。
閉じ込められた主人公の車は、若者カップルに盗難され、そこから彼らのエピソードが続く。変な構成だが、それが最後に再び主人公の文字通りの命運を左右するというのが面白い。まあ、ただエレベーター内の主人公を映すだけだと退屈なので考えられた設定なのかな……。
要するに犯罪者が、実行中にトラブルに遭遇するという、『古畑任三郎』か『コロンボ』みたいな話なのだ。
一番気になったのは、エレベーター内で一晩過ごした主人公、トイレはどうしたのか? ということだ。映画的ご都合主義でたまたまエレベーターの床が抜けたので、そこから下に出したのかなぁ(´Д`)