思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

地球の静止する日

☆☆☆★

地球が静止する日』のリメイク元。白黒映画である。
4Kリマスターということで、かなりクリアで、白黒というとこも相まって、昔のアメリカ、というだけでない、そもそもが異世界のような雰囲気も感じた。これは、本来、製作者たちが意図してたものではない効果だろうが。
まずは、最初にやってくるUFO。デザインは子供の落書きみたいなものだが、何もないところから切れ目が入ってスロープが出てくる特撮というか、セットの精巧さに感動した。現在ならCGで誰でもできるのだが、この感動はないだろう。逆に、『ラピュタ』のロボット兵のような銀色のロボットはブリキ玩具のようなシロモノ。
人間そのままの宇宙人が、いち市民、それも子供と交流する、というのも映画としてはベタではあるが、丁寧に描かれており、安心して見ていられる。博士に方程式の計算を教えて、会うのだが、結局博士は何の役にも立たないとか(^^;)
それ以外には特筆すべきこともないが、普通によくできていて、時間がなかったので後半は早送りしてしまったが、十分現在の鑑賞に耐える作品。

以下ネタバレ

タイトルにある地球が静止するとは、自転が止まるわけでも、時間が止まるわけでもない。単に電子機器が使えなくなるだけ。それも三十分。全世界に宇宙人の力を見せるデモンストレーションだからだけど。
本当ならというか、『インディペンデンス・デイ』以降のハリウッド映画なら、ここからが本番で、人類軍対宇宙人の大戦争か、はたまた主人公たちの潜入作戦がクライマックスになるところだが、本作は宇宙人の交渉人が撃たれて復活して帰ったら終わり。ちょうど、クラークの『前哨』(『2001年』の序盤に相当する短編)みたいな話である。