☆☆☆★
高校から大学の時にレンタルしたが、冒頭の鬼軍曹の嫌味に耐えきれず、5分くらいでギブアップした記憶がある。
今回は新兵たちに感情移入しないように、心をフラットにして鑑賞。『アフガン』なんとかでもあったような、しごきシーンは、定番といえば定番。本作では、割と淡々と、しかししつこく鬼軍曹の暴言が描かれる。キューブリックらしさといえば、兵舎内を左右対称のレイアウトで撮ってるなぁ、というくらい。
全体の半分がこれで、後半はめでたく海兵隊員となり、ベトナム戦争の基地に配属された主人公の視点で戦地が描かれる。
こちらは、『ハンバーガー•ヒル』っぽいというか、『モスル』や『ブラックホーク•ダウン』っぽいというか。最後の2つよりも、カメラがグラグラしないので、めちゃくちゃ見やすい。それでいて、臨場感は充分。カメラをブレブレにしさえすれば臨場感と迫力と緊迫感が出ると安易にやっている全監督&カメラマンよ、本作を見習え! と声を大にして言いたい。
戦場の非情さも描かれているし、この後半は普通に、というか普通以上に娯楽作品として面白い。後半だけの映画でいいやん(´Д`)
以下ネタバレ
本作最大のツイストは、前半のラスト。無事にカリキュラムをクリアしたのに、デブちゃんが鬼軍曹を殺して自殺するのだ。あれだけしごかれたら、おかしくなるよなぁ、という感じで、前半だけの中編映画としても成立するだろう。
後半でも、部隊のメンバーが次々と死んでいく。本作ではラスボスたるスナイパーが、民兵の女性である、というのも意外といえば意外。ネタバレ云々というほどのテーマ的な意味はないけど。死に顔の、目を剥いた表情は、異形感があって良かった。