思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アベンジャーズ エンドゲーム


☆☆★

前編である『インフィニティ』がほぼ最初から最後までクライマックスだったのに対して、本作は冗長。特に、各キャラクターに愛着のない私みたいな人間には、例えば冒頭のとあるおっさんの家族がいつのまにか消える、といったシーンは長すぎる。もちろん、ラストシークエンスで復活•再会することへのネタ振りではあるのだが、そんな主役級の扱いにしては、冴えないオッサンをそれに当てるってのもどうかと。もしかしたらマーベルファンからしたら、大人気キャラなのかもしらんけど(´Д`)
タイムトラベルに関して、本作の設定は私の持論である「主観的時間線絶対論」に近いものだったので、子供のサノスを殺してもムダ、というところまではよく分かったが、そこからはやっぱり納得できない。タイムトラベルが出てくると、どのように展開しようと、完全に制作者の万能っぷりに従うしかないのた。
隠棲しているサノスをよってたかって殺し、インフィニティ•ストーンを過去から集めて来て「アンドゥー」指パッチンをしようとするのは予想通りだが、そこから過去のサノスがタイムトラベルしてくる、ってのは強引だよなぁ。そもそも、サノスの部下(娘)のメカ女がタイムトラベルしていたら、裏切っていないほうが遠隔ハッキングして情報を引き出すなんて、とんでも展開でしょ? 絶賛派はこのご都合主義が気にならないんだねぇ。
絶賛派の号泣ポイントである「アベンジャーズ、アッセンブル!」も『ゼンカイジャー』の冒頭だか、『ゴウカイジャー』の冒頭だかのハチャメチャっぷりと五十歩百歩だった。比較対象があまりにも……というなら、『レディ•プレイヤー1』とか。
普通にサノスに勝てそうなキャプテン•マーベルも、本作の最初と最後にしか登場しない。いわく、宇宙の他の星のフォローに忙しいから、地球だけに構っていられない。まるでミステリーにおける万能型探偵である神津恭介や、メルカトル鮎のようだ。彼らがいると、すぐに事件が解決しちゃうから、なんだかんだと私用で、現場に来るのが遅れる(^^;)
サノスが指パッチンで消えないのか……と思わせて、おもむろにどっこいしょと腰掛けて、無言で消える。何やねん、あの「間」は!? すぐ消えるか、「最後にひとこと」くらいは言わせても良かったんじゃない?
そもそも、本作における時間線理論でいえば、最初の時間線では、消えて人々は戻って来ない。
つまり、サノスが勝ったルート、一度死んで復活したルート、途中からサノスがタイムトラベルして消えたルートの3本が存在するんじゃない?
つまり、アベンジャーズ側からすると、一勝一敗、サノスの不戦敗、という、かろうじて勝ち越しじゃないのかなぁ。
ただし、演出としてドタバタ喜劇のようにも見えて、どうかと思った、ソウルストーンを手に入れる試練として、サノスは他人を犠牲にしたが、アベンジャーズは、自分を犠牲にしたから、その精神が故に勝った、という部分はよかかも。でも、これも「愛するものを捨てる」とい条件とは微妙に違うような……。