思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『恋するタイムマシン』機本伸司
☆☆☆★

今回のテーマはタイムマシン。SFの王道テーマのひとつである。
とはいえ、結局できないのがこのシリーズのお約束(´Д`)。
いちおうは、サイクロトロン「むげん」を使ってどうにかするのだが……。
タイトルに「恋する」とあるように、小説としてのテーマが恋愛。共同研究者の男女が片思いに気がつくかどうかと、沙羅華と主人公綿貫の片思いが進展するかが鍵となる。
ただし、「恋か仕事か」でうまく行きかけていた研究を放棄して、自分から身を引いた彼女を追いかける、って……。ベタすぎやろ!?
面白いのは「時間警察」や「未来から過去を変えるためにやってきていた、現代人になりすましている人物」など、タイムトラベルものではありがちなネタを、クライマックス前に真相として提示しながら、どんでん返すところ。本作で純粋に面白かったのはここだけかも。
量子絡みを利用したタイムマシン開発も、SF的なセンスオブワンダーを感じさせてはくれなかった。そもそも、ワームホールは制御(サイクロトロンで動かせる)できるの?電荷を帯びさせるのは無理そうなのだが……。