思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

タイムマシン惑星


☆☆☆★

短編シリーズだと思っていた「惑星シリーズ」に長編があったとは?! おまけに、舞台は『ブラックホール惑星』の再来??
同作の長編化にして続編。『前哨』と『2001年』みたいな関係といえるかも。
タイムトラベルと、ブラックホール、ホワイトホールを、ハードSF・スペースオペラ的に描いた作品。スペオペ的なのは、全編に漂う軽いタッチによるもので。辻真先的な感じもするのは、挿絵のほかに、作者自身の昭和の香りゆえか。
ハードSFといっても、ブラックホール・パウダーを飲むとタイムトラベルする、という理由は、はっきり言ってデタラメと言っていい。
本作の白眉は、ブラックホール星人(どうしても『ゴジラ対メカゴジラ』のブラックホール第三惑星人を思い浮かべてしまうが、たぶんあちらのほうが後)の生殖システムをでっち上げたこと。ハードSF的にも、バカSF的にも、こんなこと考えたのは空前絶後では?
ただし、ブラックホール惑星の仕組みを、すべて「博士」との会話で説明してしまうのは、短編ならともかく、せっかく長編にしたのに、いささか不細工。もうちょっと少しずつ謎解きを分散させないと、エレガントじゃないんじゃない?