思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

シノギ 山口組系組長の錬金術


木村勝
☆☆☆
文庫ぎんが堂

著者の文章は5%くらいで、ほとんどが山口組系の剣竜二組長が服役に書いた手記をそのまま掲載している。これを著者の名前で本にするって、倫理的にどうか……と思ったら、さいごまで読んで、あとがきでようやく納得。服役中に書いたものを、おそらく闇社会系ジャーナリストとして取材者であった著者と知人であったので、手記の公開を託したらしい。もちろん、印税とか著者名とか、ちゃんとしとかないと、あとでドエライことになるので、了承済みであろう。
タイトルが不適当だと思うが、読了しての直感に従うなら、『山口組系組長の半生記』である。ちょうど『修羅のむれ』に近い。
タイトル通りの、そして私が知りたかった、ヤクザのシノギについては、中盤にさしかかってから。

「松の木につるしてある(略)真っ裸にして、蜂蜜をたっぷりと塗ってやったので全身虫だらけ」

「急ぐカネをポンと積める人間はヤクザしかいない。」

「競売にされる前に手を打つことが重要(略)土地に(略)店を作り、営業をする。俺が自宅を増築して新たに抵当権を設定する。」

「この抗争で費やされた軍資金は両組合わせて10億円前後と取り締まり当局ではみている。
゛山極戦争゛」

「責任者からニセの書類を作ったことを告白するテープと一筆を書かせていた」
よくテレビで関係者の証言音声が流されるが、こういうヤクザ経由のものもあるのかも?