思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

岩崎裕美子『ほとんどの社員が17時に帰る売上10年連続右肩上がりの会社』を読む

印象に残ったところ

「目先の売り上げを稼ぐことではなく、差別化したオリジナル媒体をどんどん開発することだったのです。自社の強みである差別化した媒体を開発することは、会社の将来の柱をつくることになります。そしてそれこそが、会社の安定した利益なのです。」

「産休に入るときは、仕事の棚卸ができるいいチャンスなんです。(略)やる必要のない仕事って結構あります。」

「新卒社員は残業OKにしています。(略)覚えることが多いし、仕事が遅いから。(略)まず量をこなさなくては成長できないのです。」


『彼女の血が溶けてゆく』浦賀和宏
☆☆☆☆

徹底的に個人的(セカイ系)なミステリーを書いていた作者の、貫井徳郎のような雰囲気もある医療サスペンス。ところが、読み終えてみると、高木あきみつばりに、ちゃんと本格している。
離婚経験のあるフリーライターが、医療ミスの事件を追う、という展開も、昭和の香りがして好ましい。
関係者を一人ひとり見つけていくのもスリリングではあるが、何といっても伏線の張り方とほぐし方のタイミングが巧い。興信所、開腹手術、主人公の前職、離婚原因、依頼主などが中盤から終盤にかけて、カタカタとドミノを倒すように繋がってゆく。
惜しむらくは、死んだ女性・愛の心情の変化がはっきりわからないこと。手記やモノローグはドッチラケなのでいらないにせよ、せめて関係者の証言などで、動機を明らかにして欲しかった。別に、『白光』や『プリズム』的な多面的視点がウリでも、『十三角関係』のような単純な反転ものでもないのだから。


『彼女の血が溶けてゆく』浦賀和宏
☆☆☆☆

徹底的に個人的(セカイ系)なミステリーを書いていた作者の、貫井徳郎のような雰囲気もある医療サスペンス。ところが、読み終えてみると、高木あきみつばりに、ちゃんと本格している。