思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

生命を支えるATPエネルギー


二井将光
☆☆☆☆
講談社ブルーバックス

高校の化学の時間に習った、アデノシン三リン酸や、なんとか回路から始まって、生命を、化学的な相互作用であることが分かる。まさに、生命とは化学物質の反応によって活動しているのだ。したがって、病気や、薬がなぜ効くのか、ということも水素原子をはじめとする原子や、どの化学物質が細胞などの受容体にくっつくのか、などで説明できる。

「生きていく上で、成人の脳だけで、1日120グラムのグルコースが消費され化学エネルギーに変換されます。1モルのグルコース(180グラム)と酸素が直接反応した場合には(略)686キロカロリーのエネルギーが熱(略)として発生します。(略)大きなエネルギーが一挙に発生したら、細胞の構造は破壊され、多くのタンパク質の立体構造が壊れ生物はとても生きられません。
 こういう危機的な状況にならないように、生物は燃料であるグルコースを段階的に分解し、この過程でグルコースの化学エネルギーは小分けにされて、ATPに保持されます。」

満州国の大連病院で働いていた内科医(略)牧野堅(略)ATPの後続を証明しました。(略)ローマンも(略)6ヶ月後に報告しています。ところがローマンは、牧野の論文を読んでいる(略)のに引用しませんでした。」
本書では科学者の倫理問題としているが、戦前故の白人のレイシズムゆえに違いない(類例は多数)。

「菌体の数倍のながさの鞭毛は(略)細胞膜にある固定子と鞭毛の基部の間を、1000個以上の水素イオンが流入し1回転します。流れる水のエネルギーが水車を回転させるのと似ています。」

鞭毛って、ヘビのように動いているわけではなく、スクリューのような構造だったのか!?

「体内で作られるATPの70パーセントにもおよぶ量が(略)細胞内外のイオン環境を整えること、そして幕を横切ってイオンの勾配を作り出すことは、生物にとって重要なのです。」

「ドイツから化学を学んだ歴史的な背景から、元素Naをナトリウムとよび、Kをカリウムとよんでいますが、英語ではソディウム(略)とポタシウム」