思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

R N A学のすすめ

柳川弘志
☆☆☆★
講談社ブルーバックス

1990年に出た本だが、私のような素人にはとっては全く古さを感じさせない教科書。
教科書と書いたのは、門外漢にはちと専門的すぎる用語がドバドバ出てくるから。せめて基本用語の確認ができるように、索引はつけて欲しかった。高校で生物を習った私ですらこうだから、そうでない人はまずちんぷんかんぷんではなかろうか(そんな人はそもそも読まないか)。
テレビなんかでD N Aについて紹介されることはあっても、R N Aについてはほぼない。だが、多種多様、変幻自在な役割を担うなくてはならない存在である。

「R N AはD N Aに比べて柔構造でえるため、いろいろな立体構造をとることが可能である」
RNAは一本鎖ということは常識だが、それが一部はくっついて、少し飛ばしてさらにくっつくとで、リング状のはみだしが出来たり、ある意味、二重螺旋で固定されているD N Aよりも面白い存在である。

「インフルエンザウイルスの(略)タンパク質のアミノ酸を比較することによって(略)起源がトリにあることがわかった」

「インフルエンザウイルスは(略)読みまちがいを修正する機能をもっている(略)タンパク質をコードするR N Aが八本にわか!ているため、ひじょうに早い速度で変異する。お互い組替えが頻繁におこり、新種のウイルスが誕生しやすい(略)その場所は、中国南部(略)世界中で大流行する半年から1年前に、中国で必ず流行しているからである。中国では、ヒトがアヒルやブタといっしょに生活しているため、遺伝子の組替えがおこりやすい場を提供しているらしい。」

「(1)R N Aは水溶液中、とくにアルカリ性溶液中、高温、亜鉛イオンのような、遷移金属イオンの存在下ですみやかに加水分解される。しかし、D N Aはこのような条件下でも安定である。(2)R N Aレプリカーゼは修復機能をもっていなかった。だからR N A遺伝子上に高頻度に変異が起こってしまった。D N Aの現在の複製系は高度な修復機能をもっている。(3)核酸塩基のあるものは化学作用に対して不安定である。たとえば、シトシンは脱アミノ化されてウラシルになる。R N A依存の酵素には、この脱字アミノ化したものを修復する機能がない。D N Aの場合にはウラシル−D N Aグリコシラーゼによって修復さりる。(4)紫外線照射は、2本鎖D N Aよりも一本鎖R N Aに、より大きなダメージを与える」