思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

探偵AIのリアル・ディープラーニング

早坂吝
☆☆☆★
新潮文庫NEX

AIが探偵のミステリというと、『ゴールデン・フリース』が真っ先に浮かぶが、意外とその次が思い浮かばない。
研究者である父が作ったAIを、父が殺されたことから受け継いだ主人公が、探偵助手となって事件を解決していく。
悪の組織があったり、二つ名があったり、清涼院流水の系譜に連なり、ラノベ的な設定もふんだんにある。推理のロジックそのものはしっかりあるが、リアリティ的には微妙かも。証拠や論理的な破綻は、少なくともわたしには気づかなかった。
四つの事件のうち、母の死の真相はどうかと思ったが、逆に「中国語の部屋」の話は、伏線・どんでん返し共に良かった。
本作で一番なるほどと手を打つ感じがあったのは、AIのビジュアルが主人公の好みなのは、パソコン内にある女性の画像データを元に生成したから、というもの。なんかラノベにそのまんまの前例がゴロゴロしてそうではあるが(^^;)