思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

高慢と偏見とゾンビ』☆☆☆★

なぜ録画しようとしたのか忘れた(逆にそれが面白いのだが)が、変わった映画だ。
ゾンビものであることには疑いないのだが、舞台が中世から近代のイギリスなのだ。銃や大砲はあるので、日本で言うと江戸時代末期??
主人公は貴族の娘。年頃の姉妹が4人いるので、母親は玉の輿を狙って、名士に嫁がせようとする。親の狙いと、本人たちの好き嫌いがあって、色々と絡み合う人間ドラマ、と言うか恋愛ものなのだ。
近代、英国貴族、ゾンビの三題噺、かと思いきや、そこに「貴族たちは男女問わずに、東洋に行って拳法を習ってくる」と言う謎設定が入っているのだ(@_@;)
金がないやつは中国(主人公は少林寺(^_^;))で済ませるが、金持ちは日本(なぜか京都)に行って修行すると言う。
カンフー設定は、2、3シーン格闘戦があるが、あんまり活きていないしね。主人公が女だてらにゾンビと対等に戦う、と言う意味での理由づけにはなっているが。

ルックはあくまでも近代イギリスらしい重厚なもので、そこにこれまた重厚なルックのゾンビが唐突に出てくる。ちょっと『28週後...』にも似ているかも。
本当に唐突で、全編ゾンビとの戦いの中で恋愛が描かれる、と言うならよくあるが、恋愛中心で、それを遮るようにゾンビがお邪魔虫のように出てくるのだ。
地図の使い方や、都市の周りに小さいながら壁を作ったり、雰囲気的には『進撃の巨人』の実写版、と言う感じもしなくはない。壁を作ってるくせに、しれっと、ゾンビには浸入されまくってるけど。

ラストは恋愛ものではお馴染みの、大嫌いだったあいつが、実は好きだった、的なオチだったのでがっかりしたが、エンドロールの途中で入るラストカットが良かった。結婚式後のブーケトスとかのタイミング(実際にはしてないけど)でゾンビ軍団が襲ってくるのだ。
真面目なところ、エンドロール前のラストカットは、主人公に惚れていた牧師の笑顔なので、実は嫉妬に狂った彼がゾンビ軍団隊長(主人公や牧師たちの知り合い)に内通していたとか?

とにかく、いろんな意味で変なバランスの映画なんだけど、作りがしっかりしているからか、なぜか見入ってしまう隠れた良作と言えるかも。