売れない地下アイドルが、ひょんなことから大会社の社外取締役になり、ゴタゴタに巻き込まれる。
まあ、ラノベではありそうな設定で、『大日本サムライガール』なんかも連想させる。
SFでもミステリでもホラーでもないので小林泰三らしさはあまりなく、ブラックドタバタコメディで、田中啓文が書いたんじゃないかと思うくらい。ブラックというのはブラック企業ともかかっていて、ワンマンなバカ社長と会長がイエスマンばかりの会社を引っ掻き回す。平社員の身になって読むと、あまりにムカついて本を投げつけたくなるので(^^;)、植木等の『日本無責任男』みたいなコメディとして客観的に読もう。
展開としても、『大日本サムライガール』のようなラノベ以上のものがあるわけでもないし、野崎まど『タイタン』のように、仕事や会社に対する斬新な視点があるわけでもない。
そもそも主人公であろうアイドルはメイン登場人物のひとりに過ぎない、群像劇なのだ。それで、企業小説的な展開や法律の抜け穴や裏事情がないなら、読む必要ないではないか。