思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

死亡フラグが立ちました! カレーde人類滅亡!? 殺人事件』七尾与史
☆☆☆★
宝島社文庫

まず、副題にはほとんど意味がない。カレーと、前作に続いて「死神」のトラップを予想しつつ逃げるシチュエーションは出てくるが、ハッキリ言ってなくても本作のメインプロットには影響しない。
最初は、例によって極悪編集長からの無理難題から。「マヤの終末予言がどんなもので、それから世界を救った記事を書け」というのだ。無茶の二乗である。
基本的には、オカルトライターの陣内と、スーパーマンの本宮が奔走する。彼らに迫る超自然現象、というのがシリーズの骨格であり、死神云々はシリーズの必須要素ではなさそうだ。本作では『リング』ばりの呪いがテーマだが、次回は奇跡とか、ツキ(ジンクス)なんてのもありかも。
今回は呪い以外にも、持ち主に命の危険が迫ると「死亡フラグが立ちました!」と警告してくれるスマホアプリが登場する。これも『ドラえもん』の秘密道具か!? というくらいのマジックアイテムである。それによって危機を回避するのは、ラノベ的に( ´Д`)という感じでスルーするとして、終盤に
「「生きて帰ったら結婚しような」
死亡フラグが立ちました! 死亡フラグが立ちました!〉」
という場面が出てくるに至って、これをやりたかったから、こんなアイテムを出したんだな……と納得。当然、本宮は死なないわけだが……。逆に、だからこそ死んで行く、というほうが格好いいと思うのだが……。このへんはユーモア小説という意味でのラノベ的に、こうなるのも仕方ないのかも。

「胸ポケットに収まっていた頑丈スマホが彼の命を救った。(略)
「今どき子供アニメでもやりませんよ、そんなオチは」
「安直で陳腐な結末。現実なんてそんなもんだ」」
このへんも、メタ的に、というか、裏の裏を書こうとしたが、結果的にスベってしまっている( ´Д`)
特にこの2作めに至って、本シリーズは、霞流一鳥飼否宇<烏賊川市>シリーズのようなギャグセンスが合うか否かで、好みが別れそう。特にベースが本格ではないミステリーなのでなおさら。
本作がいちばん近いの小林泰三『人造救世主』とか田中啓文蝿の王』とか。

追記
『メッセージ』

岡田としおゼミも見てみた。いわゆるSF考証は興味深かったが、評価しているポイントには全然共感できなかった。間違ってはいないと思うが、自分の妄想による過剰評価じゃないかなぁ……。
タイムパラドックスに関しても、『ドラえもん』と大差ないレベルでしょ?(実は『ドラえもん』のレベルが高いという意味でもある)( ´Д`)
未来が断片的に出てくるのは、意味(理由・根拠)は全く違うが、『スタープレックス』に通じる。