思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

吸血姫美夕 朔(7)』垣野内成美
☆☆☆★
秋田書店

美夕の母編の続き。
人間と妖の者との恋、というのは垣野内先生が『夕惟』を始め、繰り返し描いているモチーフだが、その真髄、と言っても過言ではないだろう。
美夕の父となる勇とその妹の関係など、ちょっと夕惟とナギの関係を連想させなくもない。
母・美月と勇の禁断の恋が成就する瞬間がすなわち勇が死ぬ時であり、母が死ぬ時がすなわち美夕が吸血鬼・監視者として瞬時に覚醒・誕生する時である、という相転移的な構成が面白い。
ただ、OVAでは妙な味を出していたとも、全く存在感がなかったともいえる美夕の父親が、これで全くいなかったことになってしまったのが悲しい(^_^;)