思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『吸血姫夕維 最終章(下)』
☆☆☆☆

読み終えてみると、これまで長きに渡って広げてきた全ての伏線が……とまでは行かないが、読んでいる間は「これまで時間がかかったのは何だったんだ?」と言いたくなるような展開。
もちろん、映画と違って、掲載・連載すること自体にも意味があるマンガとは同列に扱えないのだが。
本作には「シ」「ミ」「吸血姫」という種族的な要素、「夕姫」「早姫」「ミユキ」「ナギ」それに「夕維」という人間関係がある。
私的にというのか、男性だからなのか、どうしても設定のバックボーンを描くことを期待したのだが、正反対の結論だった。
夕維とナギの関係に、夕姫や早姫そして夕維の吸血姫としての運命など、全てを取り込む形で収集した。こういうところが少女マンガだなぁ……と実感するところ。
絵柄的には、美夕よりも夕維のほうが平均的に高クオリティだが、ラストでも冴え渡っている。
P116 の夕維も相当美しいが、ラストのP214が哀しみとも憂いとも恋こごろが混ざったような、そのどれともつかない表情を描き分ける(混ぜる)のがまた凄まじい。