宮部みゆきや、貫井ちゃんのような、純文学よりのミステリー。中編集だが、どれも基本的には、主人公が近親者から、過去の話を聞くと、意外なドラマがある・・・という構成になっている。
２作目を読むと、同じ土地の、同じ時期の話であることが分かる。『萩原重化学工業連続殺人事件』よろしく名付けるなら、『建設会社殺人事件』とでも言えようか。
もちろん、最後には意外なそれぞれの人間関係が明らかになる、連鎖式とでもいう構成なのだが、トリッキーさは控えめ。本格ミステリ的な伏線というより、ライトなミステリー的な後出しジャンケン的な意外な事実、というオチが多い。かなり純文学寄りの『プリズム』とでもいうべき。
もちろん、４つの中短編に跨がる人間関係の構築、という意味では大変なことはわかるのだが、本格／新本格ミステリ好きが楽しめるかどうか、というのはまた別の問題。
