『獏の檻』
☆☆☆★
純文学的なミステリーで、連城三紀彦や桐野夏生なんかを連想させる。
幼少期の記憶が意識的または病気的、無意識的に封印されている設定は、便利だが、うまく使わないと、サスペンスやホラーならともかく、本格ミステリでは両刃の剣である。
本作は、トリックこそ初期ではない西澤保彦的な感じもあるものの、やはり伏線を論理的につなげた結果推理可能な本格ミステリとは言い難く、伏せられといた真相が最後に明かされるだけのサスペンスである。
ドンデン返し/ツイストはあるがあくまでも起承転結の延長線上のもの。
以外ネタバレ
ホラー・サスペンスとして見るなら、最後に主人公が死んでいればなお良かった。エピローグは息子の俊也君のモノローグとかにしてね。そうでないと、例によって犯人が最後に真相をベラベラ喋るのが報われない(?)。
貘の檻 道尾 秀介 新潮社 2014-04-22 |