思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

樋口裕一『バカを使いこなす聞き方・話し方』を読む

バカというと強烈だが、無難な言葉に言い換えれば「困った部下」あるいは「未だ発展途上の部下」という内容。
本書でいうバカとは、他のリーダー論的に翻訳するなら、つまり、「さまざまな個性・欠点のある、仕事ができない部下」のことである。そう理解して読まないと、本書序盤で入念に釘を刺している注意点を理解できない(本書で言うバカ)リーダー初心者が少なくないかもしれない。

印象に残ったところ

「部下をバカとみなすべきだ。(略)部下を信頼し、その知性や熱意を待っていたのでは、何一つできないだろう。(略)部下というものは本来愚かでバカげた人々であるという前提に立って行動するわけだ。(略)愚かな人間が本来の人間の姿なのたま。そして、人間の成長とは、一人一人が自分の愚かさを克服して、知性を獲得していく過程なのだ。組織の中の優秀な部下たちは、本来の愚かさを克服したものとみなすべきなのだ。(略)人間は開発されれば、必ず優れた人間になれる。だから、その人間を将来の見込みのないバカだと思ってはならない。」

「「ゆとり教育」は、一言で言えば、人間は生まれながら賢いという前提のゆえに失敗したのだ。(略)これまで、社会人は大人扱いされてきた。大人のコミュニケーションはできて当然、自主性があり、自分で思考でき、建設的にものを考えるという前提で組織が整えられてきた。だが、もはやそれは成り立たなくなっている。(略)部下をバカとみなして、バカに対しても理解してもらえるような、そして、いくら相手がバカであっても。その言動を理解できるような組織のあり方を考えるべきなのだ。」

「部下のバカさ加減をしっかりと見極め、一人一人のバカさ加減をに応じてそれを使いこなすことのできるのが、優秀なリーダーなのだ。(略)部下がどの面で優秀であり、どの面でバカであるかを分析できなければいけない。」

「絶望してしまうと、信頼関係は生まれない。だから、バカに接するには、バカに動じない気持ちの強さが必要だ。」

「完全に理解しようとするな(略)バカと完全に同じところに身をおくのは危険だ。(略)もちろん(略)バカを軽蔑してはならない。」

「あまりのバカさに怒りを覚えることがある。(略)だからといって、バカと同じレベルで怒ってはいけない。」

「何に対しても反対するバカに対しては(略)反対するときにはしっかりと対案を示すように指導する」