思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

叱らない、褒めない、命じない。


岸見一郎+小野田鶴
☆☆☆☆
日経BP

『嫌われる勇気』に代表される、日本のアドラー心理学
いち社員や、個人としとは割とすんなり理解はできる。
だが、組織のリーダーとして、部下の指導や教育を「命じられる/任務とさせられる」リーダーという立場からすると、どうすりゃいいんだ? という疑問点が次々に沸いてくる。
本書は、まさにそんな「中級者」のための実践編といえる一冊。
なかでも、アドラー心理学を取り入れている会社の社長3人との対談が実に興味深く、また実践編の中の事例集という感じで、特に有用な部分。

「 「1on1」で指摘するとすれば、「できたこと」「貢献できたこと」です。」

「締切を設定したからといって、それに間に合うように部下が仕上げてくれるというのは、当たり前のことではありません。」

「どうしても部下の心を読んでしまうのであれば、「よい意図があると信じる」しかありません。」

「少し厄介な部下がいて関係を遠ざけたいなら、遠ざける「理由」が要ります。そういうときに、相手の言動にマイナス面を見出すことで関係を遠ざける、いうことを、無意識のうちにしているのかもしれない」

「仕事のうえで信頼関係を築くことで距離が縮まる。」

「社会に出て間もない人には、そういう仕事の意義に対する説明が絶対に必要です。給与計算についても「誰でもできる単調な仕事だと、あなたは思っているかもしれいないけれど、そうではない」ということを、きちんと説明しなければ、若い人にはなかなか納得できないでしょう。」

「「誰かの評価」と「絶対的な価値」は違うと、自分にいい聞かせる。」

「自分の考え方を押しつけると、ろくなことがない」

「第一に、部下に、課題を自分で解決する能力があると信じ、信頼する。
 第二に、部下の言動によい意図があると信じ、信頼する。」

「見た目に頼りなく、これまでも失敗を繰り返しているので、また失敗するのではないかと思える。
 しかし、そのような部下であっても、信頼しなくてはいけない。その部下には、課題を自分で解決する能力があると信頼しなければいけない。
 部下にしてみれば、そのような信頼に基づいてチャンスを与えられない限り、自らの能力を伸ばしようがないのです。」

「意見してくる部下というのは、多くの場合、上司にとって耳が痛いところを突いてきます。的を得た意見であればなおのこと、人によっては、いよいよ腹を立てるかもしれません。しかし、そのような意見をあえて口にするのは、「この人ならば意見をいえる」と、上司を信頼しているからです。上司には、そのことをありがたいと思ってほしい。」