思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

恋するタイムマシン

機本伸司
☆☆☆★
角川春樹文庫

今回のテーマはタイムマシン。久しぶりの大ネタ。『神様のパズル』のようなハードSFを6割くらいの値で期待したのだが……。
タイムマシンの原理については、まあアインシュタインそしてロバート・L・フォワードの時代から変わっていないので、そこからどう、SF的跳躍をするか、ということになる。本作では、あっさりワームホールができる、スーパー加速器によって実現している。
本作の小説としての柱は、時間と(恋)愛について。時間論についても、恋愛論についても聞き飽きたので、ラノベ的な主人公とツンデレヒロインとの会話など、まどろっこしいだけ。ハードSFのくせに、(いくらボケ担当の主人公とはいえ)タイムパトロールを無条件で肯定したりと、ラノベ寄りすぎな感じも。
テーマと設定だけ見れば、ホーガンの『量子宇宙干渉器』みたいなハードSFになりうるのになぁ……。