武村政春
☆☆☆☆★
さくら舎
ちまたでは初めてウイルスなるものを知って右往左往している感もあるので、改めてウイルスとは何か？ を勉強。
……のつもりが、ハードSF／ミステリを読んでいるかのような驚きの結論が待っていた。
ヒトの身体には、細胞よりも細菌のほうが多い、というのも比較的最近知った衝撃の事実なのに、ウイルスはそのさらに上を行く。地球の王は、人間でも昆虫でも細菌でもなく、ウイルスだったのだ。
これって、宇宙論で言えば、ブラックホールの蒸発やインフレーション理論に匹敵するパラダイムシフトでは？
ウイルスは、従来の生命の定義では無生物だが、精子と卵子を主役にした子孫継承サイクルから見れば、細胞に同化しているウイルスも、立派な生命である、というのも興味深い。
「いわゆる抗菌グッズは、細菌への効果も疑わしいものが多いうえ、ウイルスにはほぼ無力です。」
「タミフルは、細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが、その細胞から外に出ないようにする薬です。だから「初期に飲まないとダメ」といわれるわけですね。」
「「レトロウイルス」（略）は、「逆転写酵素（reverse tran Script ase）」のことで（略）レトロ（懐古趣味）とはまったく関係ありません。」
「異なる生物種への水平移動にウイルスが関与している可能性は高く、結果として、生物進化にウイルスが関係していることは間違いないでしょう。」
「本書のまとめ
・巨大ウイルスの祖先が、わたしたちヒトなど、真核生物の共通祖先に感染した
・この結果、細胞核がもたらされた
・巨大ウイルスの祖先は、ヒトも含めたすべての生物の共通祖先である可能性がある」
