思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ノクターナル・アニマルズ

☆☆☆★

アオリ紹介文によれば、有名なデザイナーが仕掛ける心理サスペンスだとか。
とりあえず、ビジュアル的にはさすがで、不満はない。ファッションは洒落てるし、色彩設計、構図も固まってる。
面白いのは、デブの女が裸で踊っているオープニング。ノーパンなのに、腹のたるみで股間が完全に隠れているから、真正面から撮っているのに、モザイクいらずなのだ(^^;)
ストーリーは、やり手の美術商らしき女性のもとに、作家志望だった元夫エドワードからゲラが届き、それを読む。女性の日常と、作中作が交互に描かれる構成。
興味深いのは、作中作では、エドワードの妻と娘は、強姦殺人で亡くなること。主人公は、思わず娘に電話するが、現実には生きている。
ミステリ読みとしては、これが現実とどうリンクするのかが気になる。もちろん、ミステリー映画ではないし、リンクしないケースもあるが、それにしては主人公が、ただのフィクションである小説を読んで、異常にショックを受けているので、何かあるとしか思えない。
単純に、自身をモデルにした主人公の妻子をころされた展開が、自分たちが殺したいほど憎まれていたことを、知ってショックだったのかと思ったが、単なる一人二役で、別に小説としては自伝的というわけではないとしたら、単なる主人公の、早とちりに過ぎなくなる。さらに言えば、作中作として流れているドラマは、小説とは無関係である可能性すらもあり得る。
単純に、自分の都合で男に愛想を尽かして分かれた元カレが、ちゃんとした小説を書けたことに後悔と嫉妬をして、よりをもどそうとした、という尻軽女の話ってことなのかな……?