夏見正隆
☆☆☆☆★
徳間文庫
てっきり前に読んだ本みたいな、自衛隊パイロットの活躍する話かと思っていたら、冒頭こそそうであるものの、中盤以降は飛行機の出番はない。(ちなみに、本作は旧題『僕はイーグル(3)』とあるように、3作目だが、未読でもなんとなく分かった)
本題は国際謀略もの。トム・クランシーのような単なる軍事侵略ではなく、『ゼロの迎撃』、もっと言えば楡州平『朝倉恭平』シリーズに近い。もっともあちらは左翼で、こちらは右翼、という決定的な違いはあるが。
軍事に留まらず、警察、テレビ、新聞、官僚など、さまざまな点から、わが国の問題点を指摘する本作は、最悪のシミュレーション、『沈黙の艦隊』と『空母いぶき』を合わせたような作品。