思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ガンプラモデリングマニュアル』
☆☆☆☆
ガンプラを改造法を紹介するハウツー本。本書の特徴が、「どうやって格好良いフィギュアを作ったのか」を紹介するのではなく、「いろんななフィギュア製作に応用できる基本的工作の実践的紹介」にあること。
つまりは、本書は、初心者向けではなく、中級者まで向けたディテールアップ、改造のための基本工作の教科書なのだ。お題がガンダムであることすら、実は大した意味がない(ダグラムでもロボダッチでも)。実は瀧川画稿の魅力を立体化するという面では今一つだったりする(なぜカトキ版の亜流である瀧川版なのか?…ソフトバンク以外の理由はなさそうだ)。
このタイプの本は希有。
個別テクニックで言えば、合わせ目を瞬間接着剤で消す際に会えてナイフで筋彫りしてから流すとか、アンテナ状の突起を付ける際に周りにプラ板の箱組み
をいれる穴を開けてから埋め込むなど、これまでの模型関連書籍では見たことのないもの。だが、精度を出すには確かに合理的な手法ではある。あとはエポパテ、ポリパテの経年変化問題とか。

モビルスーツアーカイブ ガンプラモデリングマニュアル RX-78-2ガンダム編モビルスーツアーカイブ ガンプラモデリングマニュアル RX-78-2ガンダム編
GA Graphic

SBクリエイティブ 2017-09-16


『空母いぶき(7)』
☆☆☆☆
帯にあるように日本の反撃。現実問題として、いかに尖閣諸島人民解放軍が占拠したとしても、日本が上陸前にミサイル攻撃をかけるとは(残念ながら)思えないのだが…。このあたりはフィクションならではの踏み込みだろう。

空母いぶき 7 (ビッグコミックス)空母いぶき 7 (ビッグコミックス)
かわぐち かいじ 惠谷 治

小学館 2017-07-28


『ゼロの迎撃』
☆☆☆☆
福井晴敏山田正紀の某サスペンスのような、東京が直接内部から攻撃される話。主人公は自衛隊の情報分析官で、プロなのはいいとしても、彼が前線にまで出てきて、敵の隊長と一騎討ちするのはさすがに映画的なハッタリも過ぎるだろう。敵の家族のエピソードは適当(妥当ってこと)だが、主人公の妻のエピソードはこれまた邦画的な浪花節過ぎで本筋とはほぼ無関係。
軍事的、法律的なリアリティはさすがの重厚さで、新潮文庫でも何らおかしくない。宝島ってところの胡散臭さが損してるよなあ…。
テロ、戦争の非情さを描く本作では、人間は容赦なく殺されて行く。マスコミの扱いなど、たまたま並行して読んでいた『空母いぶき』とは対照的で面白い(『沈黙の艦隊』といい、かわぐちかいじは、ジャーナリスト善玉論者だよなぁ…)。
押井守山田正紀らと同じく、日本の持つ安全保障上の数多くの問題点を浮き彫りにする、右翼のみならず、左翼も必読の作品。そういう点では『シン・ゴジラ』とも通じる。
特に、もうひとつかっかそうようだった作戦の意図が、エピローグに至って判明するあたりもニクい。その意味で、本作は壮大なプロローグと言えなくもない。
ちなみに、タイトルはゼロ距離射撃ならぬ、本土決戦を意味するのだが、作者の前著『生存者ゼロ』にひっかけただけのような気がする。

ゼロの迎撃 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)ゼロの迎撃 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
安生 正

宝島社 2015-03-05


スペシャル・フォース』
☆☆☆★
ありがちな人質救出任務の特殊部隊もの…かと思いきや、そうではなかった。フランス映画ってことは関係あるのかな?
人質救出までが6割くらいで、後は救出ヘリとランデブーできず、迫る追っ手を交わしつつ、徒歩での山越え。つまりジャンルミックスなのだ。空撮を多用した山越え画面はほぼ『ロード・オブ・ザ・リング』。
敵味方問わず、次々に人が殺されて行く非常なところが本作の特徴。ある意味でのリアルさが魅力と言って良い。
そんなことで、12日に及ぶ作戦の殆どが遭難もの(^_^;)
『12デイズ』という邦題がついてもいいくらいの内容。

以下、ネタバレになるが…。

私的には、全滅するか、救出すべき女性が死ぬかしてほしかったが、さすがのヨーロッパ映画でもそこまではなかった。しかし、その女性以外の隊員が全滅…かと思いきや、後からヘリで救難に成功。そこであっさり幕切れとなる潔さは良い。
ところで本作は実話ベース?

スペシャル・フォース [DVD]スペシャル・フォース [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント 2012-09-05