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『わざと忌み家を建てて棲む』三津田信三
☆☆☆★
中央公論新社

『どこの家にも怖いものはいる』や『怪談のテープ起こし』と同じく、編集者からもらった怪談のテープや手記を元に小説を書いていると、作者の周辺にも怪異が……という内容。
本書では、忌み家ばかりを４つ移築、繋げて建てられた烏合邸なる建物に実験台（レポートを書くアルバイト）として来た四人の手記やテープからなる連作短編集。
だが、合間合間に作者の執筆風景が入るメタ構造で推理が入ることで、実質的には『烏合邸殺人奇譚』という長編と言っていい。
レポートという設定上、基本的に冷静に観察する視点で描かれているので、過剰に「怖いだろ？」とならないのが良い。ただ、どれも物音が聞こえる系の怪異ばかりなのはちょっと食傷だが。
最後には謎解きもあるが、基本的にホラーなこともあり、どうにもすっきりしない。意外性もいまひとつ。