思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『量子コンピュータ』

『絵で見てわかる 量子コンピュータの仕組み』宇津木健
☆☆☆★
翔泳社

まえがきによれば、量子コンピュータについての、入門書と専門書の中間的な位置付けの本。
物理学、物理工学の知識がないと、よく分からないところもあるが、初心者向けではないのでしょうがない。
量子コンピュータにも、色々なタイプがある、というのが、現行の、いわゆる古典コンピュータとは違うところ。もしかしたら、ブルーレイみたいに、技術が完成すれば、一本化されるのか、自動車みたいに、用途別に多様化のまま発展するのか……?
未来SF的な前提として、興味深かったのは、量子コンピュータの利用法。制御には古典コンピュータが必須であり、特にゲート式では、懐かしさすら感じる、制御プログラムのコンパイルが必要である、ということ。
社会のシステムとしては、各自のデバイスからの計算の要求によって、古典コンピュータでは手に負えない計算が必要なタイプの計算が発生する場合だけ、クラウド経由でサーバー的な位置付けの量子コンピュータにアクセスする、という構成になるであろう、ということ。
「測定をする(測定結果を得る)のは人間である必要はまったくありません。では、何を持って(原文ママ)測定と呼ぶのでしょうか?」
「『観測に基づく量子計算』コロナ社(略)測定型量子計算についての専門書です。」