『2312(下)』
☆☆☆
やっぱり枝葉末節が多すぎる。この下巻で主人公が金星や地球で遭難したりするシーンなんて、メインプロットに何の関係もないのだ。刈り込めば、半分以外のボリュームでも、十分にSF的センス・オブ・ワンダーは描写できる。
ただし、本作の魅力は24世紀(そう言えばドラえもんができるころだ…)の太陽系ツアーとも言うべき側面があり、そこが評価を受けているのだろうから、論外なのかもしれないが。
それに、そのへんを削ぎ落としてしまうと、メインプロットが「とこかで見た/読んだ」ことがバレてしまうから、それを胡塗するためかもしれない。
ただし、やっぱり主人公に共感できないことは、最後まで読んでも変わらなかった。約束は守らない上、それを破る時に何の葛藤も(悪びれも)ないのはいかがなものか。
解説では触れていないが、タイトルは『2013』のパロディでしょ?(映画の何年も前に原作小説が出ている)
ネタバレ
支那人が主に住む金星のテラフォームのために、意識を持つ量子コンピュータが出した結論が、いかにも中共が考えそうなものなのがおかしい。狙ってやったこと(密かな中共批判)なら、そこは評価したい(^_^;)
2312 太陽系動乱〈下〉 (創元SF文庫) キム・スタンリー・ロビンスン 加藤 直之 東京創元社 2014-09-20 |