『世界が終わる前に ビブリオバトル部(3)』
☆☆☆★
2編を収録。最初の中編は『空の夏休み』は、『空、コミケに行く』とでも名付けてもよいような作品。いかにも作者らしいコミケの実情を描いたもの。2三回行った私でも、気づいたこと気がつかなかったことがあった。ビブリオバトルはなしかと思いきや、オフ会でのSF本紹介があり、はっきり言って本シリーズより面白い。というか、ビブリオバトルじゃなくて、ひたすら部室で好きな本についてダベるシリーズでいいやん(^_^;)
紹介されている中ではマンガ『ミカるんX』が読みたくなった(ほら、ビブリオバトル形式じゃなくても読みたくさせてるでしょ?)。
表題作は、視点人物が3、四人入れ替わるのが煩雑かつ無意味なのが最大の問題。
全体を通して、とあるどんでん返しが仕掛けられているが、作中のミステリーマニアが紹介しているような「真相の方が途中の推理より衝撃的でなければならない」には、悪い意味で該当したなあ…という感じ。リドルストーリー形式で、どんでん返しをはっきり明示しないのも、本作においてはマイナスに働いている。
やっぱり、本シリーズは、SFとしてもミステリとしても、期待はさせるのだが、期待値が高いぶん、がっかりさせられてしまう。ジュヴナイルの本道として、中学生くらいが読めばまた違うのかもしれないが…。作中でオススメされている『バーナード嬢曰く』が楽しめる人向けかも(私はダメだったので)。