『独ソ・エストニア戦線』
☆☆☆★
ドイツに侵略されたエストニアでは、同じ民族どうしで、ドイツに徴兵された人たちと、ソ連にされた人たち、同族同士で殺し合う悲劇が頻発した。
モリタク的な非武装降伏論が、いかに誤ったものか良く分かる一例。
それはさておき、本作は、戦争の冷酷な側面を淡々と描いたもの。
小隊の戦友は、あるものは狙撃され、あるものはドイツ政治将校にと、あっけなく命を落としてゆく。脚本的にも、演出的にも、ドラマチックな盛り上げは全くない。『ランボー最後の戦場』や『野火』的な身体損壊こそ少ないが、確かに生と死が紙一重の戦場の空気感はひしひしと伝わって来る。
ミリオタ的には、JS2(カチューシャが乗ってるやつ。ソ連戦車は覚えられないので、違ってたらごめん)が敵でも味方でも出てくる。塹壕を乗り越えるのを下から見上げたり、弾除けに戦車の横、地雷避けに後ろを歩いたりと、歩兵目線の描写が見られる。死体を踏み潰したり(´д`)とか。タンクデサントも。
ドラマ的には、上述のように、もともと主役を立てるドラマチックな演出がない上に、主役だと思ってた人が中盤、そして主役を継いだ人が終盤に死ぬという、リレー主人公方式。ミステリ(意外な展開)好きにはたまらないストーリーとなっている。これは半分以上皮肉で、感情移入しづらいのは確か。
感情移入という点では、最初の主人公の姉に手紙を渡しに行った次の主人公が恋に落ちるのは唐突に感じたなぁ…。