『華岡清州の妻』
☆☆☆
華岡清州についてしりたかったが、図書館には子供向け伝奇マンガを除くと、これしかなかった。
小説としては、一見美しく理想的に見える裏側に潜む嫁姑問題を描いているだけ。まあ、そここそが女流文学らしいところだろう。
華岡清州の偉業については、『風雲児たち』以上のことは分からなかった。せいぜい、人体実験の前に、子犬子猫で動物実験を経ていたことくらいか。
妻が失明したことはともかく、母親が死んだのは、本作では(敢えて睡眠薬ていどのものは投与したのだが)麻酔実験とは無関係とされている。
華岡青洲の妻 (新潮文庫) 有吉 佐和子 新潮社 1970-02-03 |
『彼女が灰になる日まで』
☆☆☆
今回はミステリーのジャンルの1つとして定番と言っていい「転生」もの。
昏睡状態から復活した銀治郎の元に、同じ病院で覚醒した後に自殺した霊能力者の霊が、順番に同様の症状から復帰した人物に取り付いて自殺させている、という話が持ち込まれる。
銀治郎はもちろんそんなことは信じるわけもないが、それにまつわる記事を書くことになる。
その前に4人も自殺した人と、その家族がいるので、ちょっとややこしいというか、大掛かりな計画だが、さらには黒幕が……。
読み終えてわかるが、この「銀治郎」シリーズは、タイトルからして「彼女」シリーズでもある。本作を読めば確定するのだが、彼女とは、銀治郎の元妻である聡美の事だったのだ。
ちなみに、本作はシリーズ中では最もミステリ度(本格度)は低め。
彼女が灰になる日まで (幻冬舎文庫) 浦賀 和宏 幻冬舎 2015-12-04 |