思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

二人の息子


☆☆☆

宝田明追悼。共演は弟役に加山雄三(私的には高倉健みたいだった)。
伊福部昭音楽。ラスト前の階段を降りるカットは、特撮でも純音楽でも聴きなれない、爽やかとも悲壮でもない、不思議な伊福部節が聴ける。
東京のモダンなビルを俯瞰して大群衆が続々列を成して歩くカットは、もうディストピアSF映画のマットアート(@_@)
大企業に勤める宝田明と末の妹。真ん中の加山雄三は、タクシー会社に勤めるが、父親が仕事をクビになったことで、会社勤めをやめて、白タクを始めることになる。このへんの金銭感覚がよくわからんが、たぶんサラリーマンタクシー運転手よりは儲かるんだろうねぇ。
要するに、年取った親の世話を誰がするのか、というのがテーマ。
乱暴にいえば、ひとつの家族が世の中の不条理に翻弄される、という話。
そういう前提で見ないと、主人公たちに感情移入していると、腹が立ったり、ツラくて観てられない展開(^^;)
なにしろ、クライマックスでは、父親が電車に飛び込み自殺未遂、妹が元カレに逆ギレされて殺されそうになるので逃げたら、電車にはねられる。で、葬式で兄弟ゲンカ(@_@)
最後は宝田明が、妻のヘソクリを父親たちの面倒をみている弟に渡して和解。
いや、妻の立場からすると全くいいことないんですけど?!(´Д`)
ちゃんと結婚後も、こどもが生まれるまでは水商売を続けていたとか、彼女の立場もしっかり描かれてるのに。しかもヘソクリのことは宝田明も最初から知ってるのに、映画内にはラストまで出てこない。
当時はまだ男尊女卑というか、男を立てる風潮が残っていたのかな? よくこの結末で女の観客が怒らなかったと思うんだけど。