思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ブラインドサイト(上)』
☆☆☆★
創元SF文庫

いきなり六万ものモジュールで地球を捜査するところ、敵のアジトに乗り込むところはクラーク『タイム・オデッセイ』や『宇宙のランデヴー』を思わせる展開。
物理的ではない攻撃を仕掛けるところ(上巻の段階では精神的攻撃とも言い切れない)は『ソラリス』っぽい。どこまでハードSF的に着地する、あるいはセンス・オブ・ワンダーを感じさせてくれるのか、期待したい。
明示こそされないが『ビリー・ミリガン』などの精神医学的要素、数学タームなど実に盛りだくさん。いちおう人間ドラマもしっかり書かれているが、展開としては勿体をつけずに進んで行くのは○。
ただ、ちょくちょく過去のシーンが挿入されるのが、章題がない(題名だけでなくナンバリングすらないのだ)のもわかりにくい。