思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『黄金の門』読了

平谷美樹
☆☆☆★
角川春樹事務所
『エリ・エリ』『レスレクティオ』に続く<神>をテーマにした3部作の完結編。(作者あとがきによると、『エンデュミオン・エンデュミオン』も入るらしい)
3部作とはいえ、今回は『エリ・エリ』のイントロとも言える時代設定で、外伝的と言っても過言ではな内容。
おまけに、超能力や超常現象も出てくるものの、普通のエンターテインメント小説でもよくある程度の扱いである。
いや、むしろ神という普遍的なテーマだけに、よけい純文学的な雰囲気が勝っているのかもしれない。なにせ中盤まではSFらしさは皆無だし。
せめてラストくらいは神罰が下るとか、エルサレムが豪快に吹っ飛ぶというカタルシスが欲しかった…。
で、結局<神>の正体は“”って…。日本人なら「何を今さら」という感じ。作者も読者も日本人だからこそ、西欧的な解決が読みたかったなあ…。
個人的にゴーマンかまさしてもらえるなら、このシリーズは『エリ・エリ』『エンデュミオン・エンデュミオン』の二作読めば十分。