思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ホラー・サスペンス大賞の特別賞。
もちろん選者は改稿前のものに対して論評しているので、直接比較はできないが、私は、これで十二分に秀作だと思う。
もちろん京極夏彦的なところはあるが、当時はともかく、京極夏彦本格ミステリをろくに書かなくなった現在(発表当時というより、私が読んでいる2011年)では、三津田信三というのがいちばん近いと思う。
ホラーとして超常現象は認めつつも、かなりの部分で本格ミステリとしての伏線と論理的な解決を持っている。
登場人物の描写も、小説としての文章力も新人離れしていて、文句なく必読のホラー系本格ミステリとして万人にお勧めできる。

背の眼背の眼
道尾 秀介

幻冬舎 2005-01