医学伝習所の解散、伊之助の平戸での婿養子化と帰郷、松本良順と徳川家茂、慶喜の関係など、幕末ものらしくなってきた。
新撰組の近藤勇など、お馴染みの面々で、逆にそうなってくると本作が江戸時代と近代医学との過渡期、そして身分制を描いたものであることが鮮明になってくる。
胡蝶の夢〈第3巻〉 (新潮文庫) 新潮社 1983-12 |
幻影城連続殺人事件の秘密って、○○だったのか…。でもこれ、『コズミック』上巻との間に読まなくてもいいよねえ…。
ま、それはともかく、本作では読み飛ばしてもいい密室のネタと、偏執的なまでの言葉遊び、連打されるどんでん返しがなされる。
ただ、例によって本格ミステリの論理に沿ったものではなく、あくまでもどんでん返しのためのどんでん返しといえる。伏線さえ張ってあればいいってもんじゃないだろう!?という感じか。
ミステリにおけるどんでん返しのカタルシスというのは、あくまでも論理的な納得があってこそ得られるものである、というのがよく分かる反面教師的作品といえるかも。
コズミック水 (講談社文庫) 講談社 2000-05 |