思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『エリ・エリ』読了

平谷美樹
☆☆☆☆★
角川ハルキ文庫

どうでもいい話、作者名はてっきり「ひらたに・みき」だと思ってたが、「ひらや・よしき」と読むのが正しいらしい。
解説にあるように、まさに第一回・小松左京賞にふさわしい秀作。
小松左京、ホーガン、山田正紀、クラークなんかのいいところを合わせたような、テイストなのだ。

神を探すというテーマは、小森健太朗『神の子の密室』みたいにイエスの処刑前後を章頭に配しつつ、山田正紀山本弘『神は沈黙せず』や、『ブレイン・ヴァレー』、『ループ』などをほうふつさせるスケールで描かれる。

異星人とのファースト・コンタクトは『宇宙のランデヴー』をメインに、谷甲州『パンドラ』にも通じる軌道計算の醍醐味(本作はそこまで厳密には描かれていないけれど)を感じられる。

脳になってさえ、神を探し求める神父の姿は、ソウヤー『ターミナル・エクスペリメント』を思い出す。

と、いろいろな作品を挙げたが、これらの良いところどり、というか、それくらい面白い、ということ。

テーマである神の正体については、やっぱり山田正紀と同じく、尻切れとんぼの感じはいなめないが、まあここまで書いていれば御の字だろう。(神の声が宇宙背景輻射ってこと??)

9/15~9/16