北森鴻
講談社
☆☆☆☆
9/11〜9/14
相変わらず、良質の短編集である。
最初の短編から、工藤のさよならを予感させる気配が演出されていて、
そして修行時代などの過去も、同僚であった香月の口から少しずつ語られて行く。
『背表紙の友』なんかでは、山田風太郎(の本)が登場したりして、微笑ましい。
そして4つのエピソードで工藤が去ってしまう。
書き下ろしである最後の短編(表題作)では、
北森作品の探偵たちが順番に登場するなど、実に嬉しいエピローグである。
この感じで続けてくれれば、辻真先作品におけるゴールデン街の「蟻巣」のような
探偵達の集いの場になっただろうに…。
北森作品の代表作ともいえるシリーズと思っていただけに、
これで終わってしまうのは実に残念。