思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

Jエドガー


☆☆☆★

デカプリオ主演。イーストウッド監督作品で、こんなのがあったのは、全然知らなかったなぁ。
わざと知名度が低い名前をタイトルにしている(原題も同じ)あたり、イーストウッド知名度をあてにしているよなぁ。これは、アメリカのFBIの創設者にして、死ぬまで絶大な権力をふるったらしく、私でも名前を聞いたことがある、J・エドガー・フーバーのこと。フーバーと言えば、昭和世代の人なら、聞いたことある人も多いだろう。
映画は、現代編として、老けメイクをしたデカプリオが、回想録を口述筆記させるシーンと、該当場面をリアルタイムで見せてくれる。それが行ったり来たりする。一部の例外を除き、基本的には、現代と過去のタイムラインは一方向にしか移らないので、わかりにくいことはない。
画面は、恐ろしいくらいに影が多く、モノクロかと思うくらい彩度が低い。これは、現代と過去で分けて、場面認識を容易にするためでもなく、作品を通しての統一されたトーンである。こういうのは大好物だけど。
言ってしまえば、フーバーの伝記映画なので、描かれていることが事実ならば、フーバーという人間を、どう受け入れるか、という感想や批評が多くなるだろう。
本作の内容を信じるなら、フーバーは、女性恐怖症のゲイで、マザコンで、権力志向の自尊心が過大な人物。だが、アメリカの反共&防諜システムの構築には、多大な貢献をした、ということになる。
映画として見ると、主要登場人物3人のうち、老けメイクが1番自然なのが、秘書の女性。デカプリオと、右腕の男は、どちらも不自然極まりなく、特に右腕役の人は、はっきり言ってキモい。
顔つきからしても、主演は『最後の決闘裁判』のコンビのほうが良かったのでは? もしくは、青年と老人でキャストを変えるか。
いわゆる伝記もので、重厚なドラマなので、それ以外には特に文句の付けようがない。だからと言って大傑作、という訳でもないが。
ちなみに、イーストウッドは監督業に徹していて、1カットも出てこない。フーバーの右腕の老後役として出ても良かったんじゃないの??

以下ネタバレ

唯一と言っていい、映画的な仕掛けが、フーバーが口述筆記させていた内容に、ウソがあること。右腕が、短い息の元で、それを指摘して、そこで「真実の映像」が改めて流れる。映像になった証言が真実ではない、『科捜研の女』方式だ(^^;)