思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

源氏物語 千年の謎

☆☆★

原作の方は、気になっていて、一度は図書館で借りたものの、読まずに返却した、くらいの関心度。
『逆説の日本史』か山田風太郎の『八犬伝』みたいな内容かと思ったら、めちゃくちゃ緩い謎で、ほぼ昼ドラマやん?! という内容だった。
冒頭から、テレビドラマみたいに、セット全体にぼんやりライトが当たっている照明の下で、東山が中谷美紀を強姦するシーン(裸は全然見せないけど)から始まるので、観るのやめようかと思ったけど、邦画なのでプラモ製作のBGM的に観ることにした。
結論からすると、たぶん原作の歴史ミステリーとしてのキモを丸ごと取り去ったような仕上がりにかっかり。陰陽師役で出ていた窪塚の棒読みセリフも相変わらず。
平安ものなので、衣装やロングヘアのビジュアルに期待したが、これまた印象に残らなかった。前に見た溝口健二の映画のほうがよほど衣装が美しかった。
ヒロインの一角に真木よう子がえるが、なんか年齢設定も美人役なのかもよく分からなかったのも微妙な点。

以下ネタバレ

タイトルにある源氏物語の謎は、この映画では、要するに、光源氏イコール藤原道長のこと、という、誰でも分かるわ、という内容で、謎にすらなっていない。せめて現代編として、研究者が謎を提起する場面を入れるとかすれば良かったのに。「謎」とあるのに、何が謎かも分からず、謎が解かれたのかも、明かされたのかも分からないという、奇妙奇天烈な作品。