思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

最も狙われた男

☆☆☆★

原題も同じ『THE MOST WANTAED MAN』だが、最後まで観ると、邦題のほうが作品のニュアンスをよく伝えている気がする。私の英語リテラシーが少ないから、原題のニュアンスを汲み取れていないだけかもしれないけど。
まず、ドイツで活躍する諜報部員である主人公が冴えないおっさん。トム・クルーズとかダニエル・クレイグとかよりも、ある意味リアルなのだろうが、まるでアメリカの田舎のおやじか、せいぜいホワイトハウスのシーンで大統領の背景に映る大臣、みたいな俳優さんなのだ。
ロシアから逃げてきた、チェチェン人とのハーフで、イスラム過激派としてマークされている男をどう扱うか、という物語。
主人公を含めて、捜査方法じたいも『ミッション・インポッシブル』みたいに格好良くないのは、『裏切りのサーカス』や、何より『スパイ・バウンド』みたいだなと思ったら、後者と同じジョン・ル・カレ原作だった。
日本の警察でいうエスが黒人(アラブ系?)で、後半に出てくるイスラム金持ちの息子と身なりが全然違うので、同一人物とは最後になるまで分からなかった。そのへんを登場段階で敢えて説明しないところがハード。スパイ世界のルールとかも、クライマックス前に、ドイツの大臣だか何だかに、ドイツスパイ組織とアメリカCIAが説明するシーンまでないし。
マルタイ(これも日本の警察用語だけど)に接触して遺産を引き出すのが、リベラル派の弁護士。それを若い女性にして、ロマンス要素を入れるのは、さすがにハードボイルドすぎるから、テコ入れしたのかな?

以下ネタバレ

タイトルだが、マルタイが、ロシアでもイスラム過激派としてマークされ、ドイツでも、ドイツとアメリカの双方からマークかれ、イスラム本国の組織とのつながりを探る端緒にされる。
それともう一方で、主人公のドイツの組織のおっさんもまた、エスやマルタイを、後々のために飼っておきたいのに、横槍で逮捕されてしまう。これは、本作で描かれる以前のエピソードとしても語ららている。主人公もまた狙われていた、というダブルミーニングかもしれないと示唆される。ただ、日本語としては不自然なのが問題ではあるが……。