思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

13時間 ベンガジの秘密の兵士

☆☆☆☆

マイケル・ベイ監督。ベンガジの領事館襲撃事件の実話を元にした映画。
イスラム過激派の攻撃を、ネイビーシールズの6人が奮闘し、デルタフォースの援軍が来るまで死守し、なんとか脱出した事件。
原題も『13Hours』で、頻繁に現在時刻がスーパーで表示されるのだが、事が始まってから出るわけではないので、どの時点から13時間なのか分からない。なので、どこまで耐えればいいのかが、観客には分からない。このへんは、登場人物にはそれが分からない事と、敢えて重ね合わせているのかな? 最初の攻撃から13時間だとは思うのだが、観客はその時刻なんて覚えてないし(少なくとも初見時は)。
襲撃が起こってからは、『ゼロ・ダーク・サーティ』か『ブラックホーク・ダウン』、はたまた『トランスフォーマー』の実在兵器のカットみたいではあるが、マイケル・ベイらしい、カメラがグルグル激しく動き回る感じはないので、観やすかった。
小銃をガンガン撃てば薬莢がキンキン音を立てて落ち、重機関銃に当たったイスラム兵は上半身と下半身がちぎれたりする。もちろん味方でも、手首が皮膚一枚で繋がってる状態とか、骨が飛び出たりするのが『プライベート・ライアン』以降の戦争映画のリアリティ描写。
言葉が通じないので、いったん逃げた味方の部隊が戻ってきたのと敵の区別が付かないとか、乱戦状態以上に敵味方が分からないところが戦場のリアル。RPGが恐ろしいのは相変わらずで、発射直前の民兵を狙撃すると、その場で爆発するのも迫力。車が吹っ飛んだり、建物が一部屋吹っ飛んだりする。迫撃砲も怖い。米軍はアラモ砦ならぬ陣地防衛なので、少しずつ射線を修正して、徐々に主人公たちに迫ってくるのだ。
CIAの局長が嫌なやつかつ無能に描かれているが、映画的な脚色で悪役っぽい人を作る必要があったからで、実際はそうでもないんじゃない? と勘ぐってしまう。
JJみたいな、光が画面を横切るラインになるフィルターが、映像ノイズみたいで鬱陶しかったけど、劇場で見ればきれいにボケて見えるのかもしれない。
とにかく『ブラックホーク・ダウン』や『プライベート・ライアン』『ローン・サバイバー』なんかが好きな人にはオススメできる。

2016年 アメリ