思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

劇場版サンダーバード6号


☆☆★

観たような、見てないような感じだったので改めて観た(『サンダーバード』関連は、本や雑誌で言及される事が多いので)。
今となっては忘れがちだが、作中の時代設定は未来であり、宇宙時代。そこへ、新たな航空会社の儲かり戦略としてブレインズに依頼されて出したプランが、飛行船にやる世界一周。これ、半世紀を経た現在でも、船の世界一周が残っていることから、間違っていないアイデアである。
その飛行船、これまで写真で何度も見たことはあったが、まさか飛行船だとは思わなかったもの。全然普通の飛行船の紡錘形というか、ソーセージ型じゃないんだもん。例えるなら『ガンダム』のパプア級輸送艦に、サンダーバード2号の尾翼をつけた感じ。双胴かつ直方体なのは、クライマックスで複葉機が離着陸するところからの逆算というか、演出上の要請からであることは一目瞭然。
現代美術なような、リング状の板が無数に回転する部屋は、しばらくしないと明かしてくれないが、いわゆる反重力装置。サラッととんでもないテクノロジーを入れてくるあたりは、さすがは天才ブレインズ(^^;) ここは、別に普通のメタンガスでも、ストーリー上、なんら問題なかったのだけど。
映画として唸らされたのは、タイトル。オープニングはなかったが、その飛行船をバックに、いわゆる「サンダーバードのテーマ」をストリングスかつ静かな曲調にアレンジして、ぼーっと聞いてるとメインテーマのアレンジであるとわからないくらいさりげなく聴かせるのだ。
ポリコレなんてクソ喰らえ、という私だが、ペネロープの執事であるパーカーが、ギャグ担当のコメディリリーフにしても、あもりにも扱いが酷い(他のキャラからも、物語上の展開からも)のイライラさせられた。こういうのの教訓から、『サンダーバード・アー・ゴー』のパーカーは、凄腕の元スパイ、という設定に格上げされたんだろうなぁ……。
一時間半くらいの尺なのに、持て余したのか、単にプロップやジオラマを作る余裕がなかったのか、無理矢理引き伸ばしたような展開・シーンが多い。
最大のものがクライマックスのシークエンス。飛行船から複葉機にしがみついて脱出した5、6人が着陸するまで、飛行船をケーブルで落ちないようにするサンダーバード1号2号とのカットバックと合わせて、延々と5分くらいは引っ張るのだ。下には草原も割とあるし、高速道路もある。すっと着陸したら、1分くらいですむのだ。
草原といえば、草原と林のあるところから複葉機が離着陸するシーンでは、実物か、ラジコンを使って、さらに背景に写真を効果的に使って、かなりリアルに見せていた。
また、飛行船救助にサンダーバード1号2号が到着する場面での、逆噴射ホバリングのジェット噴射は鋭いガス噴射から、噴煙が周囲に広がる、格好いいカットだった。
テレビシリーズではどうだったか。実は意外と銃撃戦やってた気がするが、本作でもなんとかなりそうな場面でも、割と遠慮なく悪者を射殺してたなぁ国際救助隊。