思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ソワレ

☆☆☆★

日本映画チャンネルの「月イチ衝撃作」。紹介だけ読んでいると「駆け落ち男女の逃避行」みたいな感じで、全然観る気がなかったのだが、一定以上の内容が並ぶ枠なので、念の為チェック。
オレオレ詐欺グループでバイトしている売れない役者が主人公。彼の劇団が合宿に行った老人ホームで会った女性が、父親に強姦されているところに出会した彼は、行きがかり上、彼女が親を刺した後に、二人で逃げ出すことになる。
そのまま、駆け落ちを装って警察から逃げ回る生活を続ける破目になる。
「衝撃」的な部分は、近親相姦(強姦)と、クライマックスに主演女優が脱いでのベッドシーンがある、ということくらい。特に過激な暴力や性描写があるわけではない。
二人がお互いに秘密を抱えているが、最後にはいろんなしがらみや自意識を捨てて、本音を言い合う。ただこれ、そこまでの極限というか、非日常な状況じゃないと言えないことなのか? と言う、「映画として、それを言っちゃあおしまいよ」的な不満が終始なくもない。
最大のモヤモヤは、二人が相思相愛出なく逃亡生活に入った、と言うこと。もちろん、クライマックスに本音を語り合ってベッドインするカタルシスのためだろうが、父親を刺した後に数週間も逃亡生活を維持する動機としてはちょっと弱すぎる。
普通に、学校生活や職場で、気になる男女が、次第に距離を詰めてゆく、『愛がなんだ』と物語としては大差ない気がする。
タイトルは、『ヒメアノール』よろしく半分くらいたった40分くらいで出るのだが、本作に関してはそれほど効果を上げているようには思えなかった。クレジットはなしで、タイトルだけが浮かび上がる。ちなみに、意味は知ってるようで知らなかったが、要するに黄昏とか日没、ってくらいの意味か。

2020年 日本