思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

博士と狂人

☆☆★

ショーン・ペンメル・ギブソンの共演、というのがウリだったが、考えたら、私はショーン・ペンと言われても、名前を聞いたことがある、というくらいの知識であった(^_^;)
題材としては、オックスフォード英和辞典(を初めて?)編纂するための秘話、というもの。
一人はスコットランド人で、在野の天才言語学者メル・ギブソンが演じているのだが、ヒゲモジャということもあって、最初はてっきりアフリカ人かと思った(^_^;)
もう一人は、アメリカの軍医であり、脱走兵の罰を与えていたためにPTSD(当時はそんな言葉はなく、単に精神を病んだとみなされた)のため、イギリスに流れてきたところを幻覚に襲われて、関係ない男を殺してしまう。裁判の結果、精神異常と判断されて精神病院に入れられるが、そこへオックスフォードから情報提供依頼の手紙が届く。
メルギブは、全ての単語の数世紀にわたる使用例の変遷を調べるため、学者だけでは手に負えないので、全世界の人々に協力を求め、それがショーンのところにも届いただけなのだが。
実はショーンも言語収集にかけては才能があるので、二人は才能を通じて友情を深め、ついには彼を精神病院から出し、アメリカへ帰すことにも成功する。博士というのがメルギブで、狂人というのがショーン。
ネタ的には、歴史秘話、という感じで『エニグマ』と似たような感じ。
事実だけを知りたい私のような人間には、2時間半近い作品時間は長くて、中盤以降は早送りしてしまった。
私は殺した男の家族との関係や、PTSDなど、映画的な演出には興味がなくて、言語収集の苦労や意外な発見をこそ興味があるのだが、当たり前。映画じゃなくて原作を読め、という話である(機会を見つけて読んでやろうじゃないの)。
なお、撮影はうまくて、夜のロンドンの街中の黄色いトーンなど、実に見事だった。

2019年 アメリ