思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『マッドマックス 怒りのデスロード』
☆☆☆☆

序盤は、各所で大絶賛されるほどでもないかな〜と思ったが、後半のアクションの畳みかけが凄い。
時系列的にもそうだし、いち画面内にも複数の見せ所があって、一度では全てを把握できないほど。
ところが、ストーリーはシンプルなので、画面も設定も、少々分からなくても問題ないのが上手い。中でも、主人公たちの車が最初から最後までタンクローリーなので、色々な象徴としての意味もそうだが、混沌とした画面の中でタンクローリーさえ追っていれば良い、というのも上手い。
改造車ばかりだが、『3』までよりもシルエットだけで判別できるデザインも素晴らしい。
キャラも好き嫌いを別にすれば、しっかりと作り込まれて(キャラ立ちして)いて、説明ゼリフが全くないのに、背景が推察される。
中でも、フュリオサ(シャーリーズ・セロンだとは、言われないと分からない)がヒロインとして魅力的。かたわなのは、特撮だと思うが、全く分からないのも凄い。CGは恐らく多用しているとは思うが、実物との区別は全くつかない。似たコンセプトの『フォースの覚醒』より、実際のフリークス(侏儒とか)を起用しているので、ヒロインがそうであっても、単に奇をてらったように思わせない。また、演出的には、内面でも何か欠落していることの象徴なんだろう。
最後まで謎だったのはマックスの幻覚。『3』までのトラウマでもなさそうだし(『2』のブーメラン使いの少年?)…。
また、マックスのキャストもメル・ギブソンから変更されているし、マックスらしさというのが感じられなかった。これなら、別の誰かでも良いのではなかったか。要するに、マックス絡みでモヤモヤがたくさんあるのだが、見逃している点が多いだけかもしれない。何しろ一見で全て理解するのは不可能な密度だし。

純粋に、アクションの密度だけで言えば、『ガルパン劇場版』や『ガンダムUC』『スターウォーズ3』なんかもあるけど、アクションと物語(キャラクター性の演出)がここまで密接に絡んだ作品というのはなかなかないかも。